独がEU復興基金を承認へ、憲法裁が反対派の申し立て棄却

ドイツの連邦憲法裁判所は21日、EUのコロナ復興基金創設を違憲として政府の批准手続き停止を求める市民団体の申し立てを棄却した。これによって復興基金は始動に向けた障害がなくなり、7月に運用が開始される見通しだ。

新型コロナウイルス感染拡大で大きな打撃を受けたEU経済の再生に向けた復興基金は、欧州委員会が市場で調達した資金をEUの中期予算に組み込み、新型コロナによる経済の打撃が大きい国に補助金と融資の形で配分するというもの。規模は7,500億ユーロで、資金は欧州委がEUの高い信用力を生かして債券を発行して調達する。EUが全体として借金し、共同で債務を負って苦境にある国を支援する格好で、事実上の共同債務方式となる。

基金創設は全加盟国による承認が必要。ドイツでは連邦議会が3月に承認した。しかし、市民団体はドイツが債務を負うもので憲法に反するとして提訴。憲法裁は3月、批准に必要となる大統領による署名の仮差し止め命令を出していた。

棄却したのは、同団体が署名を阻止するため申請した復興基金を違憲とする仮処分の申し立て。憲法裁は違憲とする原告側の主張に「根拠がないとはいえない」として、さらに審理を進める方針を示しながらも、復興基金によってドイツが直接的に債務を負うことはないとして、現時点では違憲と判断することはできないと指摘。さらに、最終判決が出るまで大統領が署名できないと基金の運用開始が遅れ、欧州経済の復興が損なわれるとして、署名を認めた。

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