英が温室効果ガス削減の新目標、「35年までに90年比78%減」

英政府は20日、温室効果ガス排出量を2035年までに1990年比で78%削減するとの新たな目標を発表した。6月までに同目標を法制化する。ジョンソン首相は「世界で最も野心的な目標」と強調している。

英国では50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標が法制化されている。それに沿って30年までに排出量を90年比で53%削減するとの中間目標を掲げていたが、政府は昨年12月、気候中立の早期達成を目指して同年までの削減目標を「少なくとも68%減」と、大幅に引き上げた。35年を達成期限する今回の目標には、これまで除外されてきた航空機の国際線や船舶からの排出量も削減対象に含まれる見通しだ。

新目標はバイデン米政権が22~23日にオンライン形式で開く気候変動サミットに先立って発表された。英国は11月にグラスゴーで開催される第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の議長国を務めることになっており、野心的な目標を掲げて国際社会に温暖化対策への取り組みをアピールする狙いがあるとみられる。ジョンソン氏は「COP26に向け、世界のリーダーたちも英国に続き、気候変動問題に野心的に取り組むことを期待する」と語った。

英政府によると、同国では19年の温室効果ガス排出量が90年比で44%減となるなど、順調に削減計画が進んでいる。また、再生可能エネルギーによる発電量は10年から4倍以上に拡大し、低炭素電力が総発電量の54%を占めている。

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