欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/29

東欧・ロシア・その他

ロシア経済、先行きに懸念=世銀の最新報告書

この記事の要約

世界銀行は24日に発表したロシア経済に関する最新報告書で、構造改革の遅れやウクライナ情勢に伴う地政学的緊張が景気の停滞を招いていると指摘し、同国経済は中期的に大きなリスクを抱えているとの見方を示した。 報告書は今後2年間 […]

世界銀行は24日に発表したロシア経済に関する最新報告書で、構造改革の遅れやウクライナ情勢に伴う地政学的緊張が景気の停滞を招いていると指摘し、同国経済は中期的に大きなリスクを抱えているとの見方を示した。

報告書は今後2年間のロシア経済見通しについて◇地政学的緊張と欧米による制裁が現状のまま続く(標準的)◇地政学的緊張が悪化する(悲観的)◇年内に地政学的な緊張が完全解決し、制裁が全て解除される(楽観的)――という3つのシナリオを設定。標準的シナリオでは15年の経済成長率を0.3%、16年が0.4%とし、楽観的なシナリオの下でも15年が0.9%、16年が1.3%と小幅な成長にとどまると予想。悲観的シナリオではそれぞれ0.9%、0.4%のマイナス成長に陥るとしている。

報告書は、政策の不確実性が民間企業や消費者の信頼感を損ねることで投資の減少や内需の低下を招いていると指摘。民間投資を活性化させ消費者の信頼を取り戻し、再び成長軌道に乗るためには予見可能な政策環境を構築するとともに手付かずとなっている構造改革のアジェンダに取り組む必要があると分析している。優先的に取り組むべき課題として、教育・インフラの改善や企業の競争体制の強化を挙げた。