欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/6

総合 – 欧州経済ニュース

ECBが資産担保証券買い取りの詳細発表、購入規模は明示せず

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は2日、景気刺激、デフレ回避対策として9月に打ち出した資産担保証券(ABS)と担保付き債券(カバードボンド)の買い入れ計画の詳細を発表した。10月半ばから購入を開始する。ただ、買い入れ規模は不明で、 […]

欧州中央銀行(ECB)は2日、景気刺激、デフレ回避対策として9月に打ち出した資産担保証券(ABS)と担保付き債券(カバードボンド)の買い入れ計画の詳細を発表した。10月半ばから購入を開始する。ただ、買い入れ規模は不明で、市場では効果を疑問視する見方が多い。

ECBは先月、ユーロ圏の銀行が持つ融資債権を証券化したABSとカバードボンドの買い入れを発表した。銀行の資金繰りを支えることで貸し渋りを改善し、圏内の中小企業に回る資金を増やすことによって、停滞している景気の回復を図り、低インフレから脱却することが狙いだ。

同日に伊ナポリで開いた定例政策理事会の終了後に発表された計画によると、実施期間は最低2年。買い入れ開始はカバードボンドが10月後半、ABSが10~12月期となる。新発の証券、債券だけでなく、流通市場からも購入する。さらに担保要件を緩和し、投資不適格級に格付けされているギリシャ、キプロスで発行されたABSとカバードボンドについても、一定の条件下で買い入れ対象に含める。

同日の理事会では、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を現行の0.05%に据え置くことを決めた。これは予想通りで、市場の関心はABSとカバードボンドの買い入れ計画の詳細に集まっていた。しかし、焦点となっていた買い入れ規模については、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、すでに実施している長期資金供給と合わせてECBのバランスシートを「2012年初めの水準に拡大する」と述べるにとどめた。これに基づくと、買い入れ額は最大1兆ユーロと見積もられる。

市場では仮に買い取り枠が同水準としても、余りにも小規模で、期待するような効果は望めないとして、ECBにユーロ圏の国債を買い取る本格的な量的金融緩和に踏み切るよう求める圧力が強まっている。ドラギ総裁は記者会見で、量的緩和を検討していることを明らかにしながらも、早期実施をうかがわせるような発言はなかった。このため市場では失望感が広がり、同日に独、仏、伊などの株価は値下がりが進んだ。