英国のジョンソン首相とインドのモディ首相は4日、オンラインで首脳会談を行い、自由貿易協定(FTA)の締結を目指すことで合意した。秋にも交渉が開始される見通し。両国は2030年までに二国間の貿易を倍増させることを目指す。
英国は20年末にEUを完全離脱したのを機に、通商面を含めてEU域外との関係強化を目指している。アジア太平洋地域でも各国との連携を深め、影響力を強める中国に対抗したい考えで、インドとの関係強化をそうした戦略の柱と位置づけている。
当初、ジョンソン首相は4月末にインドを訪問し、モディ首相と会談する予定だった。しかし、インドで新型コロナウイルス感染拡大が深刻化しているため、オンラインでの会談に切り替えた。ジョンソン首相は声明で「英印関係の新たな時代が始まる」と強調。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しているインドに対し、救命医療機器の提供などできる限りの支援を継続すると表明した。
英政府の発表によると、インドは果物や医療機器などさまざまな産品の非関税障壁を緩和するほか、法務サービスの市場開放などに合意。一方、英国は漁業や看護・介護分野などで市場アクセスを改善する。また、インドはワクチン製造大手セラム・インスティチュート・オブ・インディアによる2億4,000万ポンドを含む、総額5億3,300万ポンドの対英投資を表明。英側は医薬品などを中心に、4億4,600万ポンドの輸出契約を発表した。
英政府によると、英印間の貿易規模は年間約230億ポンド。2019年はインド向けの輸出が全体の1.1%、同国からの輸入は2%程度だった。