欧州自動車のステランティスは18日、台湾の鴻海精密工業と車載通信システムを手がける合弁会社「モバイルドライブ」を設立することで合意したと発表した。コネクテッドカー(つながる車)などで必要となるシステムを開発し、ステランティス車だけでなく他の自動車メーカーに供給する。
モバイルドライブは両社が折半出資する合弁会社。オランダに本社を置く。同社はナビゲーション、位置情報サービス、音声通信などの情報提供機能と音楽・動画再生など娯楽系機能を統合して運用する「インフォテインメント」、カーナビなどの車載機器に通信機能を持たせる「テレマティクス」、クラウドサービスのプラットフォーム、ソフトウェアや人工知能(AI)技術を活用したアプリを開発する。運転席での操作をデジタル化し、液晶のマルチディスプレイに統合表示する「デジタルコックピット」のシステムも手がける。
ステランティスはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが統合して今年1月に誕生した新会社。FCAは2020年1月、鴻海と合弁会社設立に向けて協議していることを明らかにしていた。これが今回の合意の土台となった。スマートフォンなどの製造で蓄積した鴻海の技術を取り込み、コネクテッドカーで不可欠となるシステムの開発に生かす。
ただ、合弁企業には当初の構想で主軸となっていた中国での電気自動車(EV)の開発・製造は含まれておらず、大きく後退した内容となった。