EU加盟国は7日、域内の脱炭素化を促進するため創設する175億ユーロの基金「公正移行基金(JTF)」の規則を承認した。これによって基金が近く始動し、各国への資金配分が開始される。
同基金は2050年までにEU域内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標の達成に向けた包括的な環境政策「欧州グリーンディール」の柱のひとつとなるもの。石炭、褐炭、泥炭(ピート)、シェールオイルなどの採掘、利用を縮小し、温効ガス排出を削減するのが狙いだ。加盟国内の地域が、こうした産業への依存から脱却するのを支援する。
具体的には関連企業がグリーン化に移行するために必要となる資金を提供するほか、失職者の転職に向けた訓練費用なども負担する。
JTFにはEUの中期予算から75億ユーロ、新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けたEU経済の再生に向けた「復興基金」から100億ユーロが拠出される。ポーランド、ドイツ、ルーマニアなど石炭産業に依存する地域を抱える国が主な受益国となる。各国が資金提供を受けるためには、欧州委員会に対象地域の脱炭素化計画を提出し、承認される必要がある。