仏競争当局がグーグルに2.2億ユーロの制裁、オンライン広告で自社サービス優遇

フランスの競争当局は7日、米グーグルがオンライン広告市場における支配的地位を乱用し、自社のサービスを優遇して競争を阻害したとして、制裁金2億2,000万ユーロ(約290億円)の支払いを命じたと発表した。グーグルは決定を受け入れ、同社が運用する広告管理プラットフォームの透明性を高めることなどを約束した。

仏当局は米ニューズ・コーポレーション、仏ルフィガロ、ベルギーのロセルのメディア大手3社の申し立てを受け、2019年からグーグルに対する調査を進めていた。問題となっていたのは、ウェブサイトやアプリ上で表示されるディスプレイ広告を巡るグーグルの商慣行。同社は広告管理プラットフォーム「アドマネージャー」が得た落札価格などのデータを、広告主や代理店と媒体社の間で広告枠を売買するプラットフォーム「アドエクスチェンジ(AdX)」と共有させ、自社の広告仲介サービスを優遇して公正な競争を阻害したとされる。

グーグルは制裁金の支払いに加え、アドマネージャーを利用する全ての媒体社や広告主が落札価格などのデータにアクセスできるようにすることや、アドマネージャーの柔軟性を高め、サードパーティーの広告サーバーとの相互運用性を改善することなどで合意した。今後数カ月かけて技術面の調整やテストを行い、フランス以外の市場でも広く適用する方針を示している。

仏当局のドシルバ委員長は「今回の決定は、グーグルのオンライン広告事業を支えている複雑なアルゴリズムによるオークションに踏み込んだ前例のないものだ。オンライン広告市場やテクノロジーに注目している他国の規制当局にとっても興味深いものとなるだろう」とコメントした。

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