日産、英にEV用電池工場新設

日産自動車は1日、中国系の車載電池大手エンビジョンAESCグループと共同で、英北東部サンダーランドに電気自動車(EV)向けの超大型バッテリー工場を新設すると発表した。欧州では英国で2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売が禁止されるなど、環境規制が強化されており、メーカー各社はEVへの転換を急いでいる。日産はEVの最重要部品である電池の生産を強化し、本格的な販売競争に備える。

発表によると、日産は総額10億ポンド(約1,540億円)を投じ、エンビジョンAESCやサンダーランド市と組み、EV向け電池工場「ギガファクトリー」の建設に加え、次世代EVの生産、再生可能エネルギーを活用する小規模な電力網「マイクログリッド」の構築を進める。日産は取引先の部品メーカーなどを含め、英国で新たに6万2,000人の雇用を生み出すと説明している。

ギガファクトリーは日産のサンダーランド工場の隣接地に建設される。エンビジョンAESCは12年、サンダーランドに工場を設立し、現地生産される日産のEV「リーフ」向けに電池を供給してきた。現在の年間生産規模はEV2万台だが、エンビジョンAESCは新工場に4億5,000万ポンドを投じ、生産能力を約5倍に引き上げる。同社は将来的に18億ポンドを追加投資し、30年までに約18万台分を追加。最終的には40万台分まで生産能力を拡張する。

一方、日産はサンダーランド工場に最大4億2,300万ポンドを投資し、次世代のクロスオーバーEVを生産する。年間最大10万台の生産が可能になる見通しで、主に欧州市場に輸出する。

日産はさらに、サンダーランド市の主導で再生可能エネルギーを活用したマイクログリッドを構築する計画も明らかにした。日産の工場内の風力発電や太陽光発電の設備に加え、新たに最大10基の太陽光発電設備を建設し、132MWの発電量を見込む。投資額は8,000万ポンド。既存の送電網からの再生可能エネルギーと合わせ、日産と隣接する自動車関連企業に100%クリーンな電力を安定供給する。マイクログリッドの実現により、年間5万5,000トンのCO2排出削減が可能という。

日産のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は記者会見で「われわれは持続可能性をビジネスの変革の柱と位置づけている。日産はパートナーとともに、電動化とカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速していく」と述べた。

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