ルノーが吉利と提携、中韓でHV事業展開へ

仏自動車大手ルノーは9日、中国の浙江吉利控股集団と提携し、中国および韓国でハイブリッド車(HV)事業を展開することで合意したと発表した。ルノーは2020年に東風汽車集団との乗用車合弁事業を解消したが、急拡大する中国のエコカー市場で巻き返しを図る。

両社は中国で合弁会社を設立し、ルノーブランドのハイブリッド車を製造・販売する。吉利が自社の技術や部品供給網を活用してHVを製造し、ルノーは販売・マーケティング面を担う。中国での発売時期は明らかにしていない。

新たな合弁会社は吉利が19年に独ダイムラーと設立した電気自動車(EV)の合弁会社をモデルにしている。ただ、ダイムラーとの合弁が折半出資なのに対し、ルノーとの合弁会社は吉利が過半を出資するもようだ。

一方、韓国では吉利の若者向けブランド「リンク・アンド・コー」のプラットフォーム(車台)を活用してHVを生産する計画。ルノーは2000年にサムスンとの合弁会社「ルノーサムスン自動車」を立ち上げたが、最近は業績が悪化しており、20年は営業損益が8年ぶりに赤字に転落した。

中国政府は昨年、35年をめどに国内で販売する全ての新車を環境対応車にする方針を打ち出した。EVなど新エネルギー車の比率を50%以上に引き上げ、残りをHVにする構想。ルノーは東風との合弁解消後、中国では商用車とEV事業に専念していたが、吉利との提携を通じて巨大HV市場に本格参入し、中国でのプレゼンスを高める。

一方の吉利は中国の民営自動車最大手。10年に米フォード・モーターからボルボを買収したほか、独ダイムラーにも出資している。同社は中国最大の検索エンジン百度と提携し、自動運転技術を搭載したEV生産に乗り出す方針を打ち出している。

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