英携帯電話サービス大手のボーダフォンは9日、同社の顧客がEU加盟国など他の欧州諸国で携帯電話を使用する際に発生する国際ローミング料金の無料化を廃止すると発表した。英国のEU離脱に伴うもので、アイルランドでの利用を除いて2022年1月6日から有料にする。
ローミング料は21年8月11日以降に新規契約した人と、料金プランを変更した人を対象に徴収する。既存顧客については引き続き無料とする。
EUでは2007年6月に採択された「携帯電話の国際ローミングに関する規則」に基づき、域内の他の国で音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信を利用する際のローミング料徴収を17年6月15日から廃止した。英国の携帯電話サービス事業者も同規則に従う義務があったが、英国がEUから離脱したことから課金が可能となった。
英国の携帯電話サービス大手は当初、EUなど欧州諸国でサービスを利用する際のローミング料を引き続き無料とする意向を表明していた。しかし、通信大手BTグループ傘下のEEが7月、1日当たり2ポンド(約308円)のローミング料を22年1月1日から徴収すると発表。ボーダフォンも追随した。
ボーダフォンのローミング料は1日2ポンド。8日間、15日間有効のパスを購入すれば、1日当たりの料金は1ポンドに下がる。
同国の他の携帯電話サービス大手では、O2とスリーがEU内での利用に制限を設け、通信量が上限を上回れば超過分に課金するシステムに移行したが、ローミングサービスの節度を越えた乱用を防ぐためのフェアユース(公正利用)制度に基づくもので、厳密にはローミング料復活とはみなされない。