S&Pグローバルの英IHSマークイット買収、欧州委が承認

欧州委員会は22日、米金融情報会社のS&Pグローバルが同業の英IHSマークイットを買収する計画を承認したと発表した。競争法の観点から両社の事業が重複する分野の資産売却が条件で、すでにIHSは石油や石炭の商品価格分析サービスなどの売却を発表している。S&PとIHSは英国や米国などの競争当局からも承認を得たうえで、2022年第1四半期に買収手続きを完了できるとの見通しを示している。

S&Pは2020年11月、IHSを買収すると発表した。買収額は債務引き受けを含めて440億ドル。IHSは景気動向の指標となる購買担当者景気指数(PMI)で知られるほか、債券指数やエネルギー、自動車市場のデータ提供などで強みを持つ。国債や企業の信用格付けや米国の代表的な株価指数であるダウ平均、S&P500を主力とするS&Pグローバルは、買収によって事業基盤を大幅に強化できる。

欧州委は買収を認めて両社が統合すると、事業が重複する商品価格分析などの分野で市場支配力が強まり、公正な競争が阻害されて価格上昇やイノベーションの停滞といった弊害が生じる恐れがあるとみて調査を進めていた。

欧州委の承認を得るため、IHSは21年8月、石油価格情報サービス(OPIS)と関連資産を米メディア大手ニューズ・コーポレーションに11億5000万ドルで売却すると発表した。S&Pも米国やカナダで発行される有価証券の証券識別コード(CUSIP)の付番およびデータライセンス事業や、レバレッジドローン(信用力が低い企業に対して行われる融資)関連のサービスを売却する方針。欧州委は一連の措置により、両社の取引を認めても競争が阻害される怖れはないと判断した。

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