欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/11/8

EU情報

欧州で新型コロナ感染が再拡大、独は追加接種を全面解禁へ

この記事の要約

欧州で本格的な冬を前に、新型コロナウイルスの感染が再拡大している。ドイツでは5日、1日あたりの新規感染者が3万7,120人に上り、2日連続で過去最高を更新した。死者数も150人を超えており、今後さらに増加する恐れがある。 […]

欧州で本格的な冬を前に、新型コロナウイルスの感染が再拡大している。ドイツでは5日、1日あたりの新規感染者が3万7,120人に上り、2日連続で過去最高を更新した。死者数も150人を超えており、今後さらに増加する恐れがある。ワクチンの接種率が低い東欧やバルト諸国でも感染者が急増しており、世界保健機関(WHO)の欧州地域事務所は4日、現在の状況が続いた場合、欧州とロシア、中央アジアで「来年2月までに新たに50万人の死者が出る恐れがある」と警告した。

EUではワクチン接種を証明する共通の枠組み「EUデジタルCOVID証明書」が導入され、証明書を提示すれば域内を自由に移動できるようになった。ワクチン接種が進んだことで、多くの国で飲食店や商業施設の営業規制、マスク着用義務などの感染対策も緩和された。しかし、秋以降は各国でワクチン接種が頭打ちとなり、4日時点で接種を完了した人の割合はドイツで66.9%。英国とフランスでも67%~68%と、いずれも日本(73%)を下回っている。東欧ではワクチン接種率が50%に届かない国も多く、気温の低下に伴い屋内で過ごす時間が増えて感染リスクが高まっていることなども感染拡大の原因と考えられている。

ドイツのシュパーン保健相は5日の記者会見で、新規感染者の急増に加え、集中治療室で手当てを受ける患者も増加していると説明し、「第4波が本格到来した」と発言。ワクチン接種完了者に対する追加接種を軸に感染対策を強化する考えを示した。

ドイツでは60歳以上の高齢者や医療従事者、免疫機能が弱い人などを対象に、9月からワクチンの追加接種を開始した。しかし、60歳以上で追加接種を受けた人は約200万人と、人口の10%未満にとどまっている。連邦政府と各州の保健相は5日に合同会合を開いて対応策を協議し、ワクチンの接種完了から6カ月が経過したすべての人が追加接種を受けられるようにすることで合意した。

オランダでも5日に1日あたりの新規感染者が1万人を超え、4カ月ぶりの高水準となった。政府は2日、感染拡大を食い止めるため6日から行動制限を再導入すると発表した。公共の場でのマスク着用を義務付けるほか、ワクチン接種または検査での陰性を証明する「コロナパス」の提示義務対象を拡大し、違反者には罰金を科す。

中東欧でも感染が急拡大している。ワクチン接種率が30%台のルーマニアでは4日、1日の死者数が591人と、過去最多を更新。ハンガリーでも1日の新規感染者が6,268人と、この1週間で2倍以上に拡大した。クロアチアでも同日、過去最多となる6,310人の感染が確認されたほか、チェコとスロバキアでも感染状況が今春の水準に逆戻りしている。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は4日、オランダ、ブルガリア、クロアチア、ハンガリーなど9カ国で「今後、感染が急拡大する恐れがある」と警告した。