欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/20

総合 – 欧州経済ニュース

欧州委、仏予算案の承認拒否か

この記事の要約

ユーロ圏18カ国の2015年予算案が15日までに出そろった。欧州委員会が2週間をかけて審査するが、フランスの予算案は財政赤字縮小が大きく後退した内容で、各国の予算案を欧州委が事前審査する制度が導入されてから初めて承認され […]

ユーロ圏18カ国の2015年予算案が15日までに出そろった。欧州委員会が2週間をかけて審査するが、フランスの予算案は財政赤字縮小が大きく後退した内容で、各国の予算案を欧州委が事前審査する制度が導入されてから初めて承認されない可能性が出てきた。

EUはギリシャを発端とする債務危機がユーロ圏を大きく揺るがした反省を踏まえ、ユーロ参加国に対する財政監視強化策として、各国の予算案を欧州委が事前に審査する制度を2013年に導入した。ユーロ圏各国は次年度予算案を議会の承認に先立って毎年10月15日までに欧州委に提出し、審査を受けることが求められる。欧州委は予算案がEUの財政規律に照らして問題があると判断した場合は承認せず、修正を求める。

EUの財政規律では、加盟国に単年の財政赤字をGDP比3%以内に抑えることを義務付けているが、フランスは2007年から違反しており、15年までに許容範囲内に収めることを求められている。同国政府は4月、景気は悪化しているものの、15年に上限ぎりぎりのGDP比3%まで削減する方針を打ち出していた。

しかし、オランド政権は経済が4~6月期にゼロ成長に失速したことなどから、赤字是正の先送りを決定。欧州委に提出した予算案では、15年の赤字はGDP比4.3%と上限を大きく超過することになった。

財政規律では赤字是正を怠った国に対して、景気の想定外の悪化など不測の事態が生じた場合は容認する特例があり、フランス政府は同国がこれに該当すると主張している。しかし、フランスは13年までの赤字是正を求められていたが、2年先送りを認められた経緯があるほか、14年の赤字は前年のGDP比4.3%を0.1ポイント上回る4.4%となる見込み。さらに、赤字是正を17年まで先送りする方針だ。フランスはユーロ圏第2の大国であるだけに、こうした財政規律軽視は欧州委にとって看過できない問題で、予算案に厳しい注文を付け、大幅な修正を求めるのは必至と目されている。