ドイツ連邦ネットワーク庁は16日、ロシア産天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」の認証手続きを凍結すると発表した。運営会社が提出した書類を検討した結果、同手続きの要件を満たしていないことが判明したため。この要件が満たされれば手続きを再開する。同認証を得られないとノルドストリーム2は操業できないことから、ガス輸送の開始時期は大幅に遅れる可能性がある。
ノルドストリーム2はバルト海経由でロシアとドイツ北部を結ぶ全長1,200キロメートルのパイプライン。2011年に開通した「ノルドストリーム1」に並行する形で設置された。スイスのツークに本社を置く株式会社ノルドストリーム2(以下NS2AG)が運営事業者となる。
連邦ネットワーク庁の認可手続きの対象となる運営事業者はドイツ法に基づく企業に限られることから、国外企業であるNS2AGは手続き要件を満たしていない。
NS2AGはこれを受けて、ドイツ法に基づく子会社を設立することを決めた。同パイプラインのうちドイツ国内に敷設された部分を同子会社に所有・運営させる方針だ。
連邦ネットワーク庁は声明で、同子会社への主要資産と人材の移管を完了した上で、同子会社が新たな申請を行えば、手続きを再開することを明らかにした。
認証手続きで問題がないと判断した場合、同庁は認可案を策定してEUの欧州委員会に提出。競争法上の見解を求めることになる。欧州委は4カ月以内に結論を出すため、連邦ネットワーク庁はそれを踏まえて2カ月以内に認可するかどうかを最終決定する。
同庁の今回の決定を受けて、天然ガスの先物価格は上昇した。ノルドストリーム2の稼働開始が遅れ、欧州の天然ガス供給不足が今後も続くとの懸念が強まったためだ。