アイルランドに本拠を置く欧州最大手の格安航空会社(LCC)ライアンエアーは19日、ロンドン証券取引所(LSE)での上場を廃止すると正式に発表した。英国のEU離脱に伴い、同国の株主による取引を制限した結果、取引量が急減しているためで、12月20日付でLSEから撤退し、上場を主要市場のダブリンに一本化する。
EUでは域内とスイス、欧州経済領域(EEA)に加わるリヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェーの株主の持ち株比率が過半数を超える航空会社を「EUの航空会社」として認定しており、同規制を順守しないとEUで営業できない。
ユーロネクスト・ダブリンとLSEに重複上場しているライアンエアーは、英国がEUを完全に離脱した2021年1月から同国の株主がEUの株主として認められなくなった。これを受けて、営業許可取り消しを回避するため、1月から英国の機関・個人投資家による株式取得を禁止し、議決権を制限してきた。
しかし、その影響でLSEでの取引が大幅に縮小し、大きなコストを負担して重複上場する意味がなくなったことから、マイケル・オレアリー最高経営責任者(CEO)は1日、LSE上場廃止を検討していることを明らかにしていた。
英国の航空会社では、LCC最大手のイージージェットがEUの規制に対応するため、オーストリアに新会社を設立し、EUでの営業を続けている。