欧州議会の委員会が「デジタル市場法」修正案可決、巨大IT企業に対する規制強化へ

欧州議会の域内市場・消費者保護委員会は23日、デジタル市場で支配的な立場にある巨大IT企業に対する新たな規制案「デジタル市場法(DMA)」の修正案を賛成多数で可決した。プラットフォーマーと呼ばれる大手に対し、他社のサービスを排除したり、自社サイトで自社の製品やサービスを優遇するなどの行為を禁止し、公正な競争環境を確保するのが新規制の狙い。修正案には規制対象の拡大や基準の変更などが盛り込まれている。12月の欧州議会本会議で採決が行われる見通しで、可決されれば2022年前半にEU加盟国との交渉に入る。

欧州委員会は20年12月、巨大IT企業に対する規制強化策として、違法コンテンツの排除に主眼を置いた「デジタルサービス法(DSA)」とセットでDMAの原案を提示した。「GAFA」と呼ばれる米4社を念頭に、EU域内で検索エンジンや交流サイト(SNS)、動画共有サイト、クラウドサービスなどの「コア・プラットフォーム」サービスを展開する事業者のうち、域内のサービス利用者が月間4,500万人以上で、かつ法人ユーザーが年間1万社以上を超えるなど、一定の基準を満たした事業者を「ゲートキーパー」に指定。自社の製品やサービスを検索結果で上位に表示したり、自社サイトを利用する競合他社のデータを使って自社サービスが有利になるようにするなど、反競争的な行為を禁止する内容となっている。

修正案によると、新たにウェブブラウザやバーチャルアシスタント、コネクテッドテレビなどのサービスが規制対象に加わる。また、欧州委案で欧州経済領域(EEA)での過去3年間の年間売上高が65億ユーロ以上、または株式時価総額が650億ユーロ以上となっていたゲートキーパーの事業規模は、それぞれ80億ユーロ、850億ユーロに引き上げられる。さらに原案では違反企業に年間売上高の10%を上限に制裁金を科すことができるとなっていたが、修正案では「4%以上20%未満」と幅を持たせている。

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