欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/12/6

EU情報

欧州のコロナ感染、数カ月以内に新変異株が主流に

この記事の要約

欧州で新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が広がっている。EU保健当局の欧州疾病予防センター(ECDC)は2日、域内では数カ月以内にコロナ感染の半数以上をオミクロン株が占めるようになるとの見通しを示した […]

欧州で新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が広がっている。EU保健当局の欧州疾病予防センター(ECDC)は2日、域内では数カ月以内にコロナ感染の半数以上をオミクロン株が占めるようになるとの見通しを示した。

ECDCはオミクロン株が最初に確認された南アフリカのデータに基づき、同予測を打ち出した。オミクロン株の実体は現時点で不明だが、南アフリカの初期データは増殖力が欧州で主流となっているデルタ株を大きく上回ることを示唆していると指摘。同国の数理モデルを欧州にてはめると、EU加盟国にリヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェーを加えた欧州経済領域(EEA)では、数カ月以内に感染の半数以上を占めるようになると分析している。

さらに、ワクチン接種や新型コロナ感染によって獲得した中和抗体の働きを低下させる可能性が高く、再感染のリスクも高まるとの見解も示した。

ECDCによると、EEAでは5日正午の時点でドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、オーストリア、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ポルトガル、チェコ、ギリシャ、アイルランド、ルーマニア、ノルウェー、アイスランドの17カ国で計182人の感染者が確認された。西欧では域外の英国、スイスでも感染者が出ている。

大半がアフリカ諸国への渡航歴がある人だが、ドイツ、英国など一部の国では市中感染と思われるケースも出ている。一方、これまでのところ重症者、死者は報告されていないという。

欧州はオミクロン株が確認される前から新型コロナ感染が急拡大しており、ロイター通信によると累計感染者は3日に7,500万人を超えた。ドイツ政府は2日、スーパーや薬局など生活必需品を取り扱う店舗を除き、未接種者の入店を禁止すると発表。接種を受けていない人は一般の小売店を利用できなくなる。

このほか、11月22日から全土でロックダウン(都市封鎖)に入ったオーストリアが1日、同措置の期間を10日間延長し、12月11日まで実施することを決めるなど、各国が対策を強化している。