自動車部品大手の独ボッシュは2日、SiCパワー半導体の量産を年内に開始すると発表した。電動車の増加を背景に大幅拡大が見込まれる需要を取り込む。クレーガー社長は「電動車向けSiCチップの生産で世界を主導する」と述べ、最大手となることに意欲を示した。
SiC半導体はシリコン (Si) と炭素 (C) で作られる化合物半導体。従来のシリコン半導体と比べて電力消費量、発熱によるエネルギー損失が少ないことから、電気自動車(EV)などの走行距離を拡大できる。冷却装置を小型化できることから車両の軽量化にもつながる。充電速度が速くなるメリットもある。
ボッシュはSiC半導体事業への参入を2年前に予告し、開発を進めてきた。今年初めにはサンプルの出荷を開始していた。EUの「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで国の補助金を受けている。
量産は西南ドイツのロイトリンゲンにある工場で行う。まずは直径150ミリのウエハーを用いて製造。将来的には200ミリを採用し、生産効率を高める。チップの年産能力(個数ベース)を1億のケタ台に増やすことを視野に入れている。
受注は極めて好調という。来年にも第2世代製品の生産を開始できるようにする。
調査大手ヨエルによると、SiC半導体市場は年率30%のスピードで拡大し、2025年には25億ドルを超える見通し。車載品はその6割に当たる約15億ドルを占める。