入れ墨インク規制の適用開始、有害化学物質の使用禁止

EUで4日、タトゥー(入れ墨)の着色用インクに含まれる数千種類の化学物質の使用を禁止する新たな規制が施行された。国ごとに異なるルールをEU全体で統一し、幅広い物質を規制の対象とすることで、がんなどの健康被害を防ぐのが狙い。ただ、タトゥーアーティストなどからは業界全体に深刻な影響が及ぶといった声が上がっている。

欧州化学物質庁(ECHA)によると、EU域内では若年層を中心に、人口の少なくとも12%(約5,400万人)がタトゥーをしているという。タトゥーの着色用インクには多くの有害物質が含まれているとして、フランスやドイツ、ベルギーなどが独自に規制を導入していたが、欧州委員会は域内でルールを統一する必要があるとして、2017年にがんや遺伝子変異、皮膚の炎症などを引き起こす可能性のある化学物質の使用を禁止する規制案を提示。加盟国は20年に規制案の内容で合意し、代替物質を見つけるための猶予期間を経て、22年1月から新ルールが導入されることになっていた。

ECHAは「新たな規制はタトゥーを禁止することではなく、タトゥーやパーマネントメイクアップに使用される化学物質をより安全なものにするのが狙いだ。統一されたルールの導入により、慢性的なアレルギー反応や皮膚の炎症のほか、がんや生殖器系への影響など、より深刻な健康被害を減らすことができる」と説明している。

これに対し、フランスのタトゥーアーティストはロイター通信に取材を受け、「パン屋から小麦粉を取り上げるようなものだ。タトゥーに使えるインクがなくなったら営業できなくなる」と発言。業界全体が深刻な打撃を受けると警告した。

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