欧州委員会は13日、韓国造船大手の現代重工業が大宇造船海洋を買収する計画を承認しないと発表した。誕生する新会社が液化天然ガス(LNG)運搬船で大きなシェアを握り、同市場の健全な競争が損なわれると判断した。
現代重工は2019年、大宇造船海洋を買収すると発表した。両社はEU域外の企業だが、EUでの取引が多いことから、欧州委が買収の可否をめぐる審査を進めていた。
欧州委は両社がLNG運搬船で世界3位内に入っており、統合によって同分野でのシェアが60%を超えることで寡占が強まり、価格上昇を招く恐れがあるとして認めなかった。両社が欧州委の懸念に対応した競争上の是正策を提示しなかったことも、認可しなかった要因に挙げた。
EUが買収・合併に待ったをかけたのは、独ティッセン・クルップとインドのタタ製鉄が欧州鉄鋼事業を統合する計画を19年に差し止める決定を下して以来。
現代重工は欧州委の決定について、LNG運搬船のシェアを大きく問題視したのは不当として反発。また、同市場ではサムスン重工業や三菱造船、川崎重工業など有力な競合企業が存在すると主張し、欧州司法裁判所への提訴を含む対応策を講じる方針を示した。