EUがカタール石油会社への調査打ち切り、ガス供給確保を優先か

EUの欧州委員会が、カタール国営石油会社カタール・ペトロリアム(現カタールエナジー)が欧州向け液化天然ガス(LNG)輸出でEU競争法に違反している疑いがあるとして進めていた調査を打ち切ったもようだ。14日付の英フィナンシャル・タイムズが報じた。ウクライナ情勢を巡り、ロシアが欧州への天然ガス供給を止める可能性が浮上しているタイミングでの判断となる。

欧州委はカタール・ペトロリアムがEUのLNG市場における市場支配的な地位を悪用し、域内の輸入業者と結んだ機関20年の取引契約に第3者への転売などを禁止する「地域制限条項」を盛り込み、域内の自由なLNG流通を阻害している可能性があるとして、2018年6月に本格的な調査を開始していた。

カタールは世界最大のLNG輸出国で、EUは輸入の約40%を同国に依存している。カタール政府は調査開始に不満を示しており、ロシアが欧州への天然ガス供給を止める懸念が高まった1月にEUに対して、LNG緊急供給の要請があっても応じないことをちらつかせ、調査を打ち切るよう求めたとされる。

調査打ち切りはEU筋がフィナンシャル・タイムズに明らかにしたもの。ただ、同筋はウクライナ問題とは無関係で、エネルギー価格の高騰が問題化していた昨年の時点で検討していたと説明している。

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