大企業の供給網監視を義務化、欧州委が法案発表

欧州委員会は23日、EU域内で活動する大企業に対して、サプライチェーン(供給網)で人権、環境問題が生じていないかどうかを監視することを義務付ける法案を発表した。対象企業は、サプライヤーが同問題に関する国際協定などに違反していることが判明した場合は、対応しなければならない。

対象となるのは、従業員が500人以上で、全世界での売上高が1億5,000万ユーロ以上のEU企業。アパレル、林業、食品・飲料、鉱業など人権、環境問題への影響が大きい業種に関しては、同250人以上、4,000万ユーロ以上であれば対象に含まれる。さらに、EU内での事業規模が同基準に合致する域外企業にも適用される。EU企業では約1万3,000社、域外企業では約4,000社が対象となる見込みだ。

同法案は強制労働、児童労働といった人権問題や、環境汚染などが企業活動で生じるのを防ぐのが狙い。大企業に責任を負わせ、取引関係がある世界中のサプライヤーが違反していないか監視させる。少なくとも年1回チェックすることを求める。問題が発覚した場合は、改善、阻止に向けた行動計画の策定を義務付ける。

このほか、EUの大企業の取締役に対して、地球温暖化対策の国際ルールであるパリ協定に盛り込まれた「産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える」という目標に沿った事業計画を立てることも義務付ける。

EU各国は同ルールが順守されているかどうかを監視し、違反した企業には罰金を科すことができる。同法案は欧州議会と加盟国の承認を経て成立となる。

EUでは一部の国で同様のルールがあり、自主的に同問題に対応している企業もあるが、欧州委は不十分と判断し、域内共通のルールを設けることを決めた。

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