英政府、イングランドでコロナ規制を全面解除

英国のジョンソン首相は21日、新型コロナウイルス対策として実施している行動規制について、人口の8割を占めるイングランドで24日に全面解除すると発表した。最後まで残っていた感染者に自主隔離を求める規制を撤廃する。オミクロン株の感染がピークアウトし、死者も増えていないことから法的な規制を打ち切り、コロナと共生する体制に完全移行する。

今回の決定は9日に打ち出した方針に沿ったもの。現在は検査で陽性となった場合、最短で5日間の隔離義務があるが、24日から不要となる。新型コロナはインフルエンザと同様の扱いとなり、感染者は自宅待機が推奨されるものの、あくまで自己責任で行動できる。濃厚接触者に検査、自主隔離を求める規制、接触者の追跡も終了する。

さらに、4月1日から新型コロナ検査キットの無料配布を中止し、配布対象を高齢者など重症化リスクが高い人や介護施設職員などに限定する。財政負担を減らす狙いがある。

英国では新型コロナ感染者が減少傾向にあり、しかもワクチン接種が進んでオミクロン株に感染しても重症化するリスクが低いことから、政府は規制全廃に踏み切った。ジョンソン首相は議会で「規制は我々の経済、社会、心の健康、子供の人生のチャンスに大きな犠牲を強いた。これ以上の代償を払う必要はない」と述べた。

ジョンソン首相はコロナ禍が収束しておらず、今後も新たな変異株が誕生する可能性があることを認めながらも、追加接種や治療薬で対応できるため、行動規制は不要と判断した。今春には75歳以上の高齢者や介護施設の入居者など重症化リスクが高い人を対象に4回目の接種を行う。

欧州ではデンマークが2月1日からコロナ規制を撤廃したが世界の主要国で規制を全廃するのは英国が初となる。

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