西南ドイツを拠点とするエネルギー大手EnBWは23日、送電網事業を手がける完全子会社トランスネットBWの合弁化を検討すると発表した。再生可能エネルギーをベースとするエネルギー経済の実現に必要な投資資金を確保することが狙い。送電網の拡充を新たなパートナーと共同で推進するとともに、同子会社株の売却益で他の事業分野の投資を加速する。
トランスネットBWの株式を最大49.9%譲渡し、合弁会社化することを検討する。実際に合弁化に踏み切るかどうかや、踏み切るとすればいつどのような形で行うかなどは未定。
EnBWは2021~25年に総額120億ユーロの投資を計画している。そのうち60億ユーロ強を電力・ガス輸送網の拡充に充てる方針。同社は自らの投資負担を軽減するため、配電網の拡充や洋上風力発電事業ですでに協業を活用している。
社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党からなる新政権は再生エネの拡充加速と石炭発電廃止の前倒しを目指している。これらの政策が実施されると、風力の強い北ドイツでの風力発電が一段と増加するとともに、ドイツ南部の石炭発電所の廃止が加速。北部から南部への再生エネ送電量を大幅に増やす必要が高まり、トランスネットBWは送電網の拡充をこれまで以上に強化しなければならなくなる。そうした先行きを見据え、合弁会社化を検討する。