ユーロ圏でエネルギー価格高騰によって物価上昇に歯止めがかからない状況が続いている。EU統計局ユーロスタットが2日に発表したユーロ圏の2月のインフレ率(速報値)は前年同月比5.8%だった。前月の5.1%を大きく上回り、過去最高を更新した。
過去最高を更新するのは4カ月連続。上昇率はエネルギーが31.7%で、前月の28.8%から跳ね上がった。工業製品は3.0%、サービスは2.5%で、それぞれ前月を0.9ポイント、0.2ポイントの幅で上回った。
欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は2.7%で、前月の2.3%から0.4ポイント拡大した。
主要国はスペインが7.5%、イタリアが6.2%、ドイツが5.5%、フランスが4.1%となっている。
インフレ率はECBが目標とする2.0%を大きく超えており、ECBは金融正常化に舵を切り始めた。年内の政策金利引き上げも視野に入れる。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が一段と上昇し、さらにインフレ圧力が強まるのは避けられない見通しだ。ただ、ウクライナ情勢が景気を圧迫するのは確実で、ECBは難しい対応を迫られる。ECBは3月10日に開く次回の理事会で、最新の経済予測に基づいて物価上昇などへの対応を検討することになっている。