欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/27

EUその他

ハネウェルとデュポンに異議告知書、車エアコンの新冷媒めぐり

この記事の要約

欧州委員会は21日、米国のテクノロジー企業ハネウェル・インターナショナルと化学大手デュポンに対して、自動車エアコン用の冷媒事業でEU競争法に違反している疑いが強まったとして、異議告知書を送付したことを明らかにした。EUの […]

欧州委員会は21日、米国のテクノロジー企業ハネウェル・インターナショナルと化学大手デュポンに対して、自動車エアコン用の冷媒事業でEU競争法に違反している疑いが強まったとして、異議告知書を送付したことを明らかにした。EUの新たな環境基準に適合した唯一の冷媒である「HFO-1234yf」をめぐる取り決めを問題視している。

問題となっているHFO-1234yfは、EUの新規制導入によってカーエアコンへの使用が禁止される代替フロン「HFC-134a(R134a)」に代わる新冷媒。ハネウェルとデュポンが2010に合弁を組み、共同開発した。現時点で唯一、新基準を満たし、流通している製品だ。

欧州委は11年12月、新冷媒の開発・製造に関する両社の取り決めによって同業他社が同分野から締め出されているとの苦情を仏化学大手アルケマから受け、調査を開始した。具体的には◇両社が1234yfの共同開発契約に続き、世界的規模での製造や第3者への技術供与を含む広範な取り決めを結んでいることで、競争を阻害している◇ハネウェルが1234yfに関連する特許を他社が利用して生産活動を行うのを阻止するため、2007~09年に行われた1234yfの認可審査プロセスで、すでに取得したか申請中の技術特許に関する情報を意図的に開示しなかった◇他社へのライセンス供与を不当な条件を設けることで制限している――という疑いが浮上していた。

欧州委は調査の結果、特許情報の開示、ライセンス供与の制限については“シロ”と判断した。しかし、製造・技術供与の取り決めに関しては、これによってHFO-1234yfの供給、技術開発が制限されている疑いが濃厚になったとして、異議告知書を送付した。

ハネウェルとデュポンは同日発表した声明で、競争法違反を否定している。両社には反論の機会が与えられるが、最終的に違法と認定されれば、全世界の年間売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。