英食品・日用品大手ユニリーバは4月28日、原材料コストの高騰を受け、1~3月期に商品の価格を前年同月比で8.3%引き上げたことを明らかにした。ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギーや食品価格は上昇を続けており、同社は今後さらにコスト上昇圧力が高まると予想。追加値上げが必要になるとの見方を示しており、消費者が低価格ブランドに流れて販売が落ち込む可能性もある。
コロナ禍の影響や天候不順などで世界の食料価格は今年初めに過去最高の水準を記録した。ウクライナ危機で状況はさらに悪化し、小麦や植物油などの価格が大幅に上昇。消費財メーカーを中心に高騰するエネルギーや原材料コストを価格に転嫁する動きが広がっており、米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)とスイスの食品世界最大手ネスレも相次いで5%程度の値上げを発表している。
ユニリーバが同日発表した22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比11.8%増の138億ユーロとなったが、販売数量は前年同期を1%下回った。同社は7~12月期に原材料コストが27億ユーロ上昇するとの見通しを示し、前回予想の15億ユーロから大幅に引き上げた。また、22年通期の売上高は前年比6.5%増、営業利益率は16%と予想している。
アラン・ジョープ最高経営責任者は「消費者へのプレッシャーは痛感しているが、猛烈な原材料コストの上昇圧力に対応して商品の価格を引き上げるのは正しいことだと考えている」と強調した。