シェルがロシア小売事業をルクオイルに売却、完全撤退に向け前進

英石油大手シェルは12日、ロシアで小売事業を手がける現地子会社シェルネフチを同国の石油大手ルクオイルに売却することで合意したと発表した。金額面など取引の詳細は明らかにしていない。シェルはウクライナ侵攻を受けてロシアからの完全撤退を決め、関連する事業や資産を売却する意向を示していた。

取引の対象となるのは、ロシア中部や北西部を中心に展開するガソリンスタンド411店舗のほか、モスクワの北西200キロに位置するトルジョークにある潤滑油の製造拠点。シェルネフチの従業員350人強はルクオイルが引き受ける。ロシア競争当局の承認を経て年内の取引完了が見込まれる。

シェルは2月末の時点で、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」や、シベリアなどで進めてきたロシア国営ガスプロムとの合弁事業から撤退すると発表。3月上旬にはロシアからの資源調達を段階的に打ち切るほか、ロシア国内での石油製品の販売も停止し、ロシアから完全撤退すると表明した。今月初めに発表した1~3月期決算では、撤退関連の費用として42億3500万ドル(約5500億円)の損失を計上した。

売却先のルクオイルはロシア国営ロスネフチに次ぐ同国2位の石油会社。ルクオイルは3月初め、ロシアの主要企業で初めてウクライナ侵攻を非難する声明を発表して注目を集めたが、ガスプロムやロスネフチなどとともに欧米による制裁の対象となっている。1991年の設立当初から経営を率いてきたヴァギト・アレクペロフ最高経営責任者(CEO)も英国による制裁対象となり、事業への影響を考慮して4月下旬に辞任した。

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