英与党がジョンソン首相を信任、求心力低下も浮き彫りに

英国の与党・保守党は6日、党首のジョンソン首相に対する信任投票を実施し、信任多数でジョンソン氏の続投が決まった。首相退陣は免れたが、党所属議員の4割超が不信任票を投じる厳しい結果となり、ジョンソン氏の求心力低下が浮き彫りとなった。新型コロナウイルス禍で厳しい規制が続く中、首相官邸などでくり返しパーティーが開かれていた問題をめぐる批判は収まっておらず、ロシアのウクライナ侵攻で加速する物価高騰に対して有効な対策を打ち出せなければ、再び辞任を求める声が高まる可能性もある。

信任投票では保守党議員359人が無記名で投票し、信任211、不信任148と、信任が過半数(180)を確保した。党の規定により、信任投票を一度実施すると、原則として1年間は再実施できないため、ジョンソン氏は当面、辞任に追い込まれる可能性はないとみられる。ジョンソン氏は投票結果を受け、「明白な結果が出た。これで国民にとって真に重要な課題に専念できる」と強調した。

ただ、不信任票を投じた148人の中にはハント元外相などが含まれているとされ、ジョンソン氏の求心力の低下は明白。信任票の割合は59%にとどまり、EU離脱をめぐる混乱の中で2018年に実施されたメイ前首相に対する信任投票の際の支持(63%)を下回る。メイ氏はいったん退陣を免れたものの、EU離脱交渉が難航する中、党内の反対勢力の勢いがさらに高まり、信任投票の約半年後に辞任に追い込まれた経緯がある。