DMG森精機がロシア事業から完全撤退した。森正彦社長が8日明らかにしたもので、ロシアによるウクライナ侵攻後、日系大手企業で完全撤退を決めたのは同社が初めてとなる。国内西部ウリヤノフスクの工場は3月初めに生産を停止していたが、閉鎖により従業員約200人を解雇した。モスクワにある販売・サービス拠点の従業員約70人も解雇した。
ウリヤノフスク工場ではマシニングセンターや旋盤を組み立てていた。これら工作機械は兵器生産に転用される恐れがあり、国際的に厳しい輸出管理の対象になっている。森社長は事業撤退に関連して、「日本やドイツ、米国など各国政府の意向通りにしないといけない。ルールに従うしかない」と語った。
DMG森精機は2015年、ロシアの工作機械需要を見込んでウリヤノフスクに生産拠点を構えた。外国企業として初の工作機械工場の投資額は総額7,000万ユーロに上った。同社広報によると、ロシアでの2021年度売上高は約80億円で全体の2%程度にとどまるため、「影響は軽微となる見込み」という。