2012/8/20

コーヒーブレイク

息子の疑惑で首相劣勢~ポーランド

この記事の要約

過去に多くの汚職問題に揺れたポーランドで初めて再選を果たしたドナルド・トゥスク首相。そのクリーンなイメージが、いかさま投資会社の倒産問題で曇っている。この投資会社の出資していた格安航空会社に息子が顧問として関わっていたた […]

過去に多くの汚職問題に揺れたポーランドで初めて再選を果たしたドナルド・トゥスク首相。そのクリーンなイメージが、いかさま投資会社の倒産問題で曇っている。この投資会社の出資していた格安航空会社に息子が顧問として関わっていたためだ。首相の推進する制度改革に反発する野党や、国内メディアはこぞってこの問題を取り上げ、様々な憶測を呼んでいる。

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当事者の息子は30歳のミハウ・トゥスク氏。7年にわたって『ガゼタ・ヴィボルチャ』紙の運輸・航空記者として働き、ごく普通の人生を送っていた。それが今年になって、格安航空OLTエクスプレスの広報顧問に就任し、グダニスク空港にもポストを得た。

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ところが、先月末にOLTが倒産。そのオーナーであった投資会社アンバー・ゴールドも今月13日に突然、全国の支店を閉めた。

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驚いたのはアンバー・ゴールドに資産運用を任せていた年金生活者などの小口投資家だ。およそ5万人が総額2,000万ユーロ相当の資金を預けていた。

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アンバー・ゴールドのマルチン・プリフタ社長(28)が過去にも不正取引などの経済犯罪で執行猶予付きの有罪判決を受けていたため、今回の件も計画的だったのではとの疑惑が浮上。ここにトゥスク・ジュニアの名前が出たことで騒ぎがさらに大きくなった。

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まず、ミハウ氏がグダニスク空港とOLTで並行して仕事をしていたことが利益相反行為に当たるとして問題視されている。また、OLTの顧問に就任してから記者を辞めており、OLT取締役へのインタビューでは自分が下書きした質問を、顧問である自分が答えていたとの批判もあがった。

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首相本人は13日の記者会見で、息子は「誠実で、正直で、強い」若者であり「100%信用している」が、時に「慎重さと賢明さ」が足りないこともあるかもしれない、と話した。OLTの件では「法律で問題を起こした人と関わりにならないほうがいい」と諭したが、息子の決心は変わらなかったという。

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これに対しては、「アンバー・ゴールドがあやしいという情報を公安庁(ABW)から得たのでは」、「いかさま投資会社だと知っていて国民に知らせなかったのはなぜだ」といった反応が出ている。

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野党はミハウ氏の公営事業体であるグダニスク空港への就職自体が親の七光りだったのではとにらみ、議会に調査委員会を設置することを求めている。連立与党の農民党も、首相の劣勢を政策決定における妥協を引き出す道具としてとらえているようだ。

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トゥスク首相の率いる市民プラットフォームは、国民に人気のない年金改革や財政緊縮政策の実現で支持率が29%まで低下。今後の改革推進に黄信号がともっている。

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