2011/6/22

コーヒーブレイク

チェルノブイリでクリーンエネルギー計画~ウクライナ

この記事の要約

チェルノブイリ原発周辺の放射能汚染区域でバイオエタノールの原料となるスイッチグラスを栽培しようというプロジェクトが持ち上がっている。民間企業や研究機関、地元官庁が計画しているもので、原子力発電所の新設に代わる電源開発と宣 […]

チェルノブイリ原発周辺の放射能汚染区域でバイオエタノールの原料となるスイッチグラスを栽培しようというプロジェクトが持ち上がっている。民間企業や研究機関、地元官庁が計画しているもので、原子力発電所の新設に代わる電源開発と宣伝している。今年から数年間、試行した後、事業化の判断を下す。

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同プロジェクトを推進するのは、ウクライナのPhytoFuels Investments、ウクライナ立入禁止区域管理庁、オランダ・ワーゲニンゲン大学リサーチセンターだ。PhytoFuelsが播種作業の資金を提供、管理庁がプロジェクトの監視と製品の放射能分析、ワーゲニンゲン大学がプロジェクトの記録作業を担当する。

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数週間以内に、区域内の3カ所で播種作業を開始する。作業従事者の健康への懸念についてPhytoFuelsでは、外気に触れることなくトラクターを運転するだけで安全と話している。また、エタノールへの加工過程で放射能が放出される危険については、特殊フィルターで処理するため、心配に当たらないという。山火事の煙で放射性物質が拡散されるほうが問題との立場だ。

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研究者によると、2,600平方キロメートルに及ぶ立入禁止区域の半分でバイオエタノール原料を栽培すれば、200メガワットの発電が可能だ。これは小型の原発1基に相当する。キエフのエンジニアリング企業INSでも、発電能力が増加するだけでなく、山火事の予防にも役立つと、その利点を強調する。プロジェクトを事業化した場合の費用は明らかではないが、『キエフポスト』紙は5億米ドル前後と見積もっている。

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ウクライナは電力需要の半分近くを4基の原発でまかなっており、現時点では安定供給の維持に原発増設が避けられないとみられている。

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