クロアチアは2013年7月に欧州連合(EU)に正式加盟する。EU加盟国の首脳は24日の会議でEUとクロアチアの加盟交渉完了を承認。クロアチアは今月末までに加盟交渉を完了する。その後、手続きが順調に進めば年内に加盟条約に調印し、2013年7月に28カ国目のEU加盟国になる。
\クロアチアは2005年12月にEUとの加盟交渉を開始した。加盟交渉で最大の焦点となっていたのは、汚職、組織犯罪対策の強化を柱とする司法改革。EUはルーマニア、ブルガリアが同分野で基準を完全に満たしていないにもかかわらず加盟を容認し、今も両国で問題が解消されていない反省を踏まえ、厳しい姿勢で交渉に臨んできた。
\この点について、クロアチアのコソル首相は独『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に対し、加盟交渉が厳しかっただけに成果も大きかったと強調。汚職容疑で国際手配されていたサナデル前首相が昨年末に逃亡先のオーストリアで逮捕されたことや国営企業の経営者50人がすでに汚職で収監されていることを具体例として挙げた。赤字経営の国営造船所の再建も進んだという。
\また、EUとの交渉にあたったウラジミール・ドロブニャク主任交渉官は、「クロアチアがEUに提供できるものもある」と述べ、アドリア海に臨む美しい景観や欧州五指に入る漁業資源、質の高い労働者、地政学的な位置、道路交通網、さらに、サッカー選手を挙げた。
\一方、クロアチアの課題は経済と財政の再建だ。08年まではプラス成長を維持してきたが、その間に政府の支出も膨らみ債務がかさんだ。経済危機が深刻化した09年の国内総生産(GDP)は前年から6%も落ち込んだうえ、昨年も1.2%減とマイナス成長から抜け出せなかった。社会民主党系の独フリードリッヒ・エーベルト財団のディルモーザー研究員は、景気回復には社会制度の改革が必至だと指摘。今後、成長のチャンスが大きい分野として、観光業のほか再生可能エネルギーや環境保護事業、食料品生産、金属加工業などを挙げた。一方、製造業は輸出力が弱い小規模経営が多いわりに賃金が高く、国際競争力をつけることが課題となっている。
\