中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2010/2/10

総合・マクロ

中欧3カ国製造業の回復、減速も

この記事の要約

英金融大手HSBCはこのほど、ポーランド、ハンガリー、チェコの中欧3カ国の製造業について、「緩やかに回復に向かうものの、その道のりは平坦ではない」との見通しを示した。主要輸出先である西欧諸国で、景気刺激策の効果が予想より […]

英金融大手HSBCはこのほど、ポーランド、ハンガリー、チェコの中欧3カ国の製造業について、「緩やかに回復に向かうものの、その道のりは平坦ではない」との見通しを示した。主要輸出先である西欧諸国で、景気刺激策の効果が予想より早く薄れる可能性が強まったため。

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1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)指数は、ハンガリーが前月の49.1から53.5に上昇し、08年8月以来17カ月ぶりに景気判断の分かれ目となる50を上回ったほか、ポーランドが51、チェコが53.1といずれも景気が拡大傾向にあることを示した。HSBCの新興市場担当アナリストであるOzturk氏は、中欧3カ国の景気回復をけん引しているのは西欧向けの輸出だと指摘する。西欧では景気刺激策として新車買い換え補助制度など様々な対策が導入されたことで需要が上向き、西欧への輸出依存度が高い中欧3カ国も恩恵を受けている。

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Ozturk氏は一方で、ドイツの有力シンクタンク、欧州経済調査研究所(ZEW)が先ごろ発表した1月の同国景気期待指数が47.2となり、4カ月連続で低下したことや、2009年の実質GDP成長率が速報値で前年比マイナス5%と大幅な減少となったことに言及。「西欧で景気刺激策の効果が薄れ始めている」と述べて、西欧諸国の景気回復がペースダウンすれば、中欧3カ国の製造業に大きな影響を与える可能性があると指摘した。

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なお、国内総生産(GDP)に占める輸出の割合はチェコで70%、ハンガリーで80%、ポーランドで40%に達している。

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