2010/2/24

CIS諸国

ティモシェンコ首相、大統領選不正申し立てを取り下げ

この記事の要約

ウクライナで今月7日に行われた大統領選決選投票で組織的な不正があったとして、キエフ上級行政裁判所に選挙の無効を訴えていたティモシェンコ首相は20日、申し立てを取り下げたと発表した。首相が提出した証拠書類が採用されず、要求 […]

ウクライナで今月7日に行われた大統領選決選投票で組織的な不正があったとして、キエフ上級行政裁判所に選挙の無効を訴えていたティモシェンコ首相は20日、申し立てを取り下げたと発表した。首相が提出した証拠書類が採用されず、要求した裁判のテレビ中継も裁判所に拒否され、「裁判を続ける意味がなくなった」(同首相)ため。ただ、不正があったとの主張は変えず、首相にとどまり続ける意思を強調した。

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ティモシェンコ首相は決選投票で、地域党党首のヤヌコビッチ前首相に約80万票差で敗退した。ティモシェンコ陣営ではヤヌコビッチ派が◇死者の名前を選挙人名簿に登載し、不正投票した◇支持率の高い地区で投票率を上げるため、正当な理由なく自宅投票を許可させたり送迎バスを用意した――などの不正で100万票以上を水増しさせたとして、行政裁に提訴していた。

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一方、選挙監視団を派遣した全欧安保協力機構(OSCE)は選挙後すぐ、「選挙は公正だった」との声明を発表。2005年に“オレンジ革命”が起きた前回選挙とは異なり、西側各国もヤヌコビッチ前首相の当選を次々と承認しており、ティモシェンコ首相が裁判を継続しても、選挙結果が覆る見込みは事実上なくなっていた。

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首相の請求取り下げにより正式に当選が確定したヤヌコビッチ新大統領は、週内にも地域党を軸とした新たな連立政権を発足させたい考えで、同党が24日にも内閣不信任案を提出する見込み。だが、同党が不信任案を成立させるためには首相を現在支えている連立与党(ティモシェンコ連合、我々のウクライナ、リトビン連合)の一角を切り崩して過半数を確保しなければならない。これに対し、首相は3党の結束を強めて新大統領に抵抗する意思を明らかにしており、水面下の政治駆け引きが激化しそうな様子だ。

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