2010/3/17

総合・マクロ

露エネルギー相、競合パイプライン計画との統合拒否

この記事の要約

ロシアのシュマトコ・エネルギー相は15日、ロシア産天然ガスを中・南欧に供給するパイプライン「サウス・ストリーム」と、欧州連合(EU)が米国の後援を受けて進める競合計画の「ナブッコ」を統合させる案について、「まったく議論し […]

ロシアのシュマトコ・エネルギー相は15日、ロシア産天然ガスを中・南欧に供給するパイプライン「サウス・ストリーム」と、欧州連合(EU)が米国の後援を受けて進める競合計画の「ナブッコ」を統合させる案について、「まったく議論していない」と実現の可能性を強く否定した。同案はサウス・ストリームのパートナー企業である伊エネルギー大手エニのスカローニ最高経営責任者(CEO)が10日、提唱していた。

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サウス・ストリームは、ガス輸送の中継国として不安のあるウクライナを迂回し、ロシア産ガスを黒海海底経由で欧州に直接供給するパイプライン。運営会社の権益はロシア国営ガスプロム、伊エニが折半で保有し、最大150億ユーロを投じて2013年までに着工。15年までの完成を目指している。一方、ナブッコはカスピ海地域の天然ガスをロシアを迂回して欧州に輸入するパイプライン計画で、ロシアへのエネルギー依存度を引き下げる狙いがある。

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スカローニCEOは、サウス・ストリームの欧州上陸後の計画ルートがナブッコと重複することから、「2つの計画を統合すれば建設期間とコストを節約でき、収益はより大きくなる」と述べた。だが、シュマトコ・エネルギー相は「欧州の顧客にとり、より多くのガス、より多くの競争があったほうがいい」と語り、2つのパイプラインはあくまで競争関係にあると強調した。

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同相の発言の背景には、計画の進捗状況でサウス・ストリームがナブッコに比べ、圧倒的に進んでいる事実がある。ロシアはアゼルバイジャンからのガス買い取り量を引き上げるなどして輸出用のガスを確保しているほか、計画ルート上のほとんどすべての国とパイプライン建設で合意。残るオーストリアとも月内に合意できる見通しという。これに対し、ナブッコはガス供給源や建設資金をいまだ確保できていない状態で、ロシア側からは「いつになったらナブッコが我々と競争できるのか、見てみようじゃないか」(同相)との声も漏れている。

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