2010/4/21

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

西イベルドローラ、世界最大の陸上風力発電所を建設へ

この記事の要約

スペインの電力大手イベルドローラは19日、ルーマニアで世界最大となる陸上風力発電所を建設する計画について、当局の承認を得たと発表した。総発電能力は1万世帯の電力需要を満たす1,500メガワット(MW)に達し、これまで欧州 […]

スペインの電力大手イベルドローラは19日、ルーマニアで世界最大となる陸上風力発電所を建設する計画について、当局の承認を得たと発表した。総発電能力は1万世帯の電力需要を満たす1,500メガワット(MW)に達し、これまで欧州最大の陸上風力発電所だった英ホワイトリーを5倍近く上回る規模となる。年内に80MW分の建設を開始し、2017年に全区画の完成を見込む。

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建設地はルーマニア南東部で黒海沿岸のドブロジャ地方で、同社は地名にちなんで計画をドブロジャ・プロジェクトと名づけている。投資額は明らかにされていないが、ブルームバーグの試算によると、20億ユーロ以上に上る見込み。同社はスイスのエンジニアリング企業NEK、ルーマニアのC-Tech、Rokuraとともに50区画に分けて建設する。完成すれば年260万トンの二酸化炭素(CO2)排出量削減に寄与するとしている。

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ルーマニアはこれまで電力の多くを火力発電でまかなっており、2009年末で風力発電能力は11MWにとどまっていた。ただ、地理的条件が風力発電に適しているうえ、「電力価格が比較的高く、電力供給システムも柔軟」(ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスのアナリスト、ヤング氏)なことから各国の電力大手が注目。伊エネル、チェコCEZ、ポルトガル電力公社(EDP)などもドブロジャ地方で風力発電の建設を進めている。

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イベルドローラはルーマニアのほか、ポーランドで161MW、ハンガリーで50MWの風力発電所を運転するほか、エストニア、ブルガリア、ロシアでも風力発電所の建設準備を進めている。09年だけで中東欧の風力関連事業に1億ユーロを投資した。全世界に保有する風力発電能力は今年3月末で計1万1,294MWに達し、風力発電で世界最大手となっている。

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