2010/6/16

総合・マクロ

ブルガリア財務統計の信頼性に懸念、欧州委が専門家派遣へ

この記事の要約

欧州委員会は9日、ブルガリアの財政状況を調査する専門家チームを近く同国に派遣することを明らかにした。ブルガリアは昨年と今年の財政赤字を当初の発表より大幅に修正するなど、財務統計の信頼性に懸念が生じているため。ブルガリア財 […]

欧州委員会は9日、ブルガリアの財政状況を調査する専門家チームを近く同国に派遣することを明らかにした。ブルガリアは昨年と今年の財政赤字を当初の発表より大幅に修正するなど、財務統計の信頼性に懸念が生じているため。ブルガリア財務省では「驚きも不安もない」として、欧州委の決定が予期されたものであると強調した。

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財政状況の粉飾により欧州統合通貨ユーロの信用不安を招いたギリシャ型金融危機の再発防止を図る欧州連合(EU)は、8日に開催した財相理事会で、加盟国の財務統計についてEU統計局ユーロスタットに監査権を与えると決めたばかり。欧州委の報道官は「ブルガリアはあとになって修正を報告してきただけで、欧州委は修正の理由を詳しく知らされていない」と述べ、ブルガリアの財務会計方法に疑念があると表明した。

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昨年夏に発足したブルガリアのボリソフ内閣は「前政権が過去2年間の公共事業に対する支出の一部を計上していなかった」などとして、昨年の財政赤字を当初発表した国内総生産(GDP)比0.8%から3.7%に大幅修正。収支均衡予算を組んでいた今年も、赤字になるとの見通しを明らかにした。

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同国の債務残高はGDPの15%と、100%を超えるギリシャやイタリアに比べはるかに低い。それでも市場からは「(ハンガリーに続き)この類のニュースで投資家心理は悪化する一途」(ウニクレディトのエコノミストGourov氏)との声が漏れている。同国は今年春にユーロ導入の前段階となる欧州為替通貨メカニズム(ERM2)への参加を目指したが、財政状況の悪化などで断念。2014年のユーロ導入を新たな目標と定めている。

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