2011/5/25

ロシア

ロスナノ、仏クロッカスとMRAM生産で提携

この記事の要約

フランスの半導体企業クロッカステクノロジーとロシア政府系ナノテク企業のロスナノは18日、磁気メモリのロシア生産で提携すると発表した。投資総額は3億米ドル。メドベージェフ大統領が推進する新産業振興政策に沿うもので、2013 […]

フランスの半導体企業クロッカステクノロジーとロシア政府系ナノテク企業のロスナノは18日、磁気メモリのロシア生産で提携すると発表した。投資総額は3億米ドル。メドベージェフ大統領が推進する新産業振興政策に沿うもので、2013年の操業開始を見込む。

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両社はまず、第1段階として1億2,500万ドルをかけて工場を建設する。建設地としてゼレノグラードやスコルコボなどモスクワに近い経済特別区のほか、ロシアの西端にあたる飛び地領カリーニングラード州が候補に挙がっている。第2段階では、さらに1億2,000万ドルを生産能力の拡大に投じる。

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クロッカスによると、ロスナノは6,400万ドルを負担する見通しで、合弁会社「クロッカス・ナノエレクトロニクス(CNE)」の過半数株式をクロッカスが握ることとなる。

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2013年に磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)の生産を開始し、世界に出荷する。操業開始時には100人を雇用し、週あたり最大500枚を生産する。追加投資完了時の生産能力は1,000枚まで拡大する見通し。

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提携契約ではまた、ロスナノおよびクロッカスの現株主であるCDCイノベーション、Ventech、IDInvest Partners、Non Dimension、Sofinnova Venture Partnersの6社が今年、クロッカスに5,500万ドルを投資することも取り決められた。

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ロスナノによると、同社は07年の設立以来、約100件、総額45億ドルのプロジェクトを立ち上げている。ロスナノは、ロシアで世界に通用するマイクロエレクトロニクス産業を育成するに当たって、CNEとクロッカスが大きな役割を果たすと期待を表明している。

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一方のクロッカスは、フランス原子力庁から分社化した06年以降に投資家から調達した資金が総額6,000万ドルに上る。今回の提携は同社の成長に向けた大きなステップとなりそうだ。

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MRAMは磁気を用いて情報を記憶するメモリで、従来メモリに比べて消費電力が小さいのが特徴。クロッカスでは電気通信、ネットワーク、記憶装置、コンピューター、ハンドヘルド端末などでの需要を見込む。また、1つの集積回路(IC)上に、ある装置やシステムの動作に必要な機能のすべてを実装するシステム・オン・チップ(SOC) としても利用が可能。この場合、セキュリティシステムやカード読み取り機、マイクロコントローラといった用途を想定している。なお、クロッカスは、今回の提携は商業的なものとし、ロシア軍との関連を否定している。

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