2011/7/6

総合・マクロ

ロシア・カザフ・ベラルーシ関税同盟、国境での税関手続きを撤廃

この記事の要約

ロシアとカザフスタンの国境における税関手続きが今月1日、完全に撤廃された。1年前に発足した、ベラルーシを含む3カ国の関税同盟に基づくものだ。市場統合でモノの移動を自由にし、経済活性化を狙う。来年初めからは、資本、サービス […]

ロシアとカザフスタンの国境における税関手続きが今月1日、完全に撤廃された。1年前に発足した、ベラルーシを含む3カ国の関税同盟に基づくものだ。市場統合でモノの移動を自由にし、経済活性化を狙う。来年初めからは、資本、サービス、労働力の移動を自由化する見通しだ。

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ロシア、カザフスタン、ベラルーシは旧ソ連諸国の約60%に当たる1億7,000万人を擁する。今回は外国産の製品に対する税関検査が廃止された。ロシアに進出している企業は、市場の拡大でビジネスチャンスが広がると期待している。

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一方で中国などからカザフスタンを経由して不正コピー商品が流入する懸念を指摘する声もある。ロシア国立大学経済高等学校(HSE)のポタンスキ教授(取引政策)は、欧州連合が結成から30年もの間、国境検査を維持していた事実を指摘し、密輸や、中国由来のウィルス汚染食品が輸入されるリスクがあると話している。

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3カ国は昨年1月、同盟発足に向けて輸出・輸入関税を一律化したが、多くの例外が認められている。カザフスタンは先ごろ、例外とされていた321品目について一律化に同意した。しかし、医薬品、医療品、鉄道車両、温室、ポリエチレンなど88品目について低関税率を適用する権利を保留。カザフスタン向けの輸入医薬品については同国以外での販売が禁止される。

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3カ国は中国産ベアリングやウクライナ産鋼管などに対するロシアの反ダンピング措置の適用でも合意した。他の品目については、関税同盟委員会がダンピング調査に当たる。

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今後の措置としては、鉄道運賃や天然ガス価格、農業補助金、物価上昇率の上限といった点でも統一を検討中。ミンスクに関税同盟裁判所を設置することも計画している。

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昨年9月以降に徴収された関税は、共同の銀行口座に集められて3カ国に配分されている。その比率はロシアが87.98%、カザフスタンが7.335、ベラルーシが4.7%。

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