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2011/7/27

ロシア

独エーオン、ロシアで新発電ブロックが稼働

この記事の要約

独エネルギー最大手エーオンが北西シベリアのスルグト火力発電所に新設した発電ブロック2基が25日に正式に稼働し、現地で記念式典が行われた。式典ではロシアのプーチン首相がビデオを通して、エーオンの投資に感謝するとともに、今後 […]

独エネルギー最大手エーオンが北西シベリアのスルグト火力発電所に新設した発電ブロック2基が25日に正式に稼働し、現地で記念式典が行われた。式典ではロシアのプーチン首相がビデオを通して、エーオンの投資に感謝するとともに、今後も外国企業のエネルギー事業を支援していくと約束した。ドイツのエネルギー大手は同国政府が原発廃止を決めて以来、エネルギー資源の豊富なロシアとの結びつきを強化する動きを見せており、エーオンの競合のRWEとEnBWもそれぞれロシアのガス最大手ガスプロムと同2位ノバテクとの提携を目指している。

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エーオンが約8億ユーロを投じた新発電ブロックの総出力は800メガワット(MW)。最新のコンバインドサイクル発電(CCGT)で、発電効率はロシア平均を3分の1ほど上回る55.9%に上る。電力は主に近郊で事業を展開するロシアの石油大手2社に供給する。新ブロックの稼働でスルグト発電所の出力は計5,600MWとなり、火力発電所としては世界最大となった。

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エーオンは2007年、ロシア国営電力UES(統一エネルギーシステム)の分割民営化により誕生した電力会社OGK-4(現エーオン・ロシア)の過半数株式を買収した。同社はスルグトをはじめ国内5カ所で火力発電所を運転しており、総出力は約1万MWに達する。

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エーオンによると、9月にはYajvinskaya発電所で新発電ブロック(400MW)が稼働する予定。さらに、ロシア向け投資額を970億ルーブルから1,094億ルーブルに引き上げ、Berezovskaya発電所でCCGT発電ブロック(800MW)を建設することも明らかにしている。

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■伊エネルの発電ブロックも稼働

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伊電力大手エネルのロシア子会社OGK-5も25日、中央ウラル地方のスレドネウラリスク火力発電所で12番目の新発電ブロックの運転を開始した。CCGT発電で出力は410MW。

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同発電ブロックの稼働時期は認可手続きの遅れで当初予定から大幅にずれ込んだ。ロシア政府はこのためOGK-5に罰金を課したが、プーチン首相はビデオ中継でエネルのカルロ・タンブリ副会長に「些細な額の罰金で気を悪くしないでほしいと」と陳謝。同副会長は「全く気にかけていない」と応じたが、ロシア産業インフラ省によると、罰金額は決して「些細」ではなく数千万ルーブルに上るという。(1RUB=2.83JPY)

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