2011/8/3

総合・マクロ

エルステ銀5.2%増益、6月中間期決算

この記事の要約

オーストリアの大手銀行エルステが7月29日発表した2011年6月中間期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比5.2%増の4億9,630万ユーロに拡大した。営業利益は1.2%減の19億6,710万ユーロとわずかに後 […]

オーストリアの大手銀行エルステが7月29日発表した2011年6月中間期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比5.2%増の4億9,630万ユーロに拡大した。営業利益は1.2%減の19億6,710万ユーロとわずかに後退した。純利息収入は0.2%増の26億8,980万ユーロ、純手数料収入は1%減の9億5,490万ユーロ。中東欧経済の回復を背景に貸倒引当金繰入額は9億4,000万ユーロと13.3%減少した。金融収支は3.6%増の2億4,870万ユーロだった。

\

ハンガリーとルーマニアの景気回復の遅れを受けて、エルステは下半期の営業利益予想を従来の「大幅増」から「堅調な成長」に修正した。また、新規融資額を5%前後拡大する通期目標は、達成が難しいとの見方を示した。

\

主力の中東欧事業は国別に明暗が分かれた。ドイツの経済成長の恩恵を受けたチェコ、スロバキアで貸倒引当金繰入額が減少して増益となったのに対し、ルーマニアは純利益が68%減の3,800万ユーロに激減した。ハンガリーでは貸倒引当金繰入額が36%増の1億5,460万ユーロに膨らんだほか、2,740万ユーロの銀行税が重荷となり、3,690万ユーロの赤字に転落した。

\

第2四半期の連結最終利益は2億3,570万ユーロと9%近く伸びた。貸倒引当金繰入額は13%減の4億8,000万ユーロに改善したが、その縮小幅はアナリストの予想を下回った。純利息収入は13億9,410万ユーロと四半期決算として過去最高を記録した。純手数料収入は 4億7,400万ユーロに低下した。

\

今後の事業展開についてトライフル頭取は、ポーランド進出への意欲を改めて示し、買収の可能性を注意深く検討していると話した。ただし、優良な企業を選ぶことが先決で、取引を急がないとしている。

\

\

■対政府債務、全額返済へ

\

\

金融危機を切り抜けるために政府から借り入れた12億2,000万ユーロの債務は、今四半期中にも全額を返済できる見通しだ。中核的自己資本(コアtier1)は6月末時点で114億ユーロに拡大。自己資本比率は9.5%と、銀行の新自己資本規制「バーゼル3」が2019年までに達成を義務付ける水準をすでに上回った。

\

トライフル頭取は、債務を返還しても市場から資金を調達する必要はないと話している。

\