2011/7/27

ロシア

ロシア鋼管メーカー、レアアース鉱床の権益30%を買収

この記事の要約

ロシアの鋼管メーカーであるチェリャビンスク(ChelPipe)はこのほど、シベリアのレアアース(希土類)鉱床を所有するテクノインベスト・アライアンスから、同鉱床の権益30%を1億1,500万米ドルで買収したと発表した。中 […]

ロシアの鋼管メーカーであるチェリャビンスク(ChelPipe)はこのほど、シベリアのレアアース(希土類)鉱床を所有するテクノインベスト・アライアンスから、同鉱床の権益30%を1億1,500万米ドルで買収したと発表した。中国や日本、米国における需要の拡大に対応する狙いがある。

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取引の対象となるのは、シベリア南部に位置するイルクーツク州のザシキンスキー鉱床で、2.5トンのニオブの埋蔵が確認されている。来年に年産処理能力10万トン(鉱石ベース)の精製工場が設置される。

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チェリャビンスクは今回の買収について、金融投資の性格が強いものの、大口径鋼管の原料の安定確保にもつながるとコメント。ニオブ価格の急上昇が予想されるため、投資資金は3~5年で回収できるとの見通しを示した。

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ニオブは鉄鋼添加剤としてのほか、医療機器から誘導ミサイルまでさまざまな用途がある。ロシアのレアメタル企業、ソリカムスク・マグネシウムによると、コンゴ民主共和国およびその隣国からの供給減少で、ニオブ価格は昨年以来、中国で50%、米国で16%上昇した。コンゴのカビラ大統領が昨年9月から今年2月にかけて、東部鉱山での採掘を禁止したことが背景にある。また、米国で今年4月、中央アフリカ紛争地域で産出された鉱物資源の使用を禁止する法律が発効したため、今後も値上がりが見込まれる。

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大手会計事務所のアーンスト&ヤングによると、2015年のレアアース市場規模は60億ドルと現在の2倍に拡大する見通し。また、米国議会調査局(CRS)の調べでは、レアアースの世界需要は昨年時点で13万4,000トンと、生産量の12万4,000トンを1万トン上回っている。これまでは在庫で補ってきたが、近い将来、供給不足が深刻化するのは避けられないもようだ。

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■ロシア、太平洋深海探査の許可取得

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鉱物資源の確保に向けて、深海探査の準備も進んでいる。国際海底機構(ISA)は19日付のプレス発表で、中国とロシアに太平洋の深海多金属硫化物の探索を許可したと発表した。深海鉱山の採算化に向けては、カナダのベンチャー企業、ノーチラス・ミネラルが採掘技術の開発を進めている。同社にはロシアの資源企業、メタロインベストも21%出資している。

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