2011/7/27

ロシア

ロシア、レアアースの共同開発をドイツに提案

この記事の要約

ロシアは天然ガス、石油だけでなくレアアースの開発事業でもドイツとの提携を検討している。両国の定期政府間協議「ペテルブルグ対話」の一員としてドイツを訪問したロシアのヴィクトル・ズブコフ第1副首相は19日、「ロシアにはハイテ […]

ロシアは天然ガス、石油だけでなくレアアースの開発事業でもドイツとの提携を検討している。両国の定期政府間協議「ペテルブルグ対話」の一員としてドイツを訪問したロシアのヴィクトル・ズブコフ第1副首相は19日、「ロシアにはハイテク製品などで重要な金属が大量に埋蔵されている」と述べ、ドイツ企業と共同でレアアースの鉱床を開発することを提案。ロイター通信によると、メドベージェフ大統領もメルケル独首相との首脳会談で、ドイツ企業のレアアース開発への投資を求めたという。レアアースはハイテク製品や電気自動車などに欠かせないが、生産をほぼ独占する中国が現在、輸出を大幅に制限しているため、今回の提案にはドイツ経済界も大きな関心を示している。

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ロシアのレアアース埋蔵量は中国に次いで世界第2位の規模を誇るが、生産は少量にとどまっており、国内需要のほとんどを輸入に依存している。しかし、世界生産の97%を占める中国が輸出を制限している影響でレアアース価格は過去18カ月で10倍に高騰していることから、ロシアは開発を加速させる姿勢を見せている。ロシアで確認されているレアアース鉱床の大半がコラ半島(ムルマンスク州)に集中しており、ズブコフ第1副首相も今回の「鉱床の共同開発」発言で、「コラ半島」に言及した。ドイツの技術と資金で開発を進めたい考えだ。

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一方、ドイツ政府は昨年、レアメタル、レアアースなどの資源の供給を確保するため、資源国が豊富な開発国と「二国間資源パートナーシップ」を構築する方針を決定した。同パートナーシップは資源国の持続可能な経済・社会発展を支援する代わりに、これらの国の資源開発や調達事業にドイツ企業が公正な条件の下で参加できることを目指すもので、今年5月にはカザフスタンと同パートナーシップに関する了解覚書(MoU)を締結した。カザフとは特に、パソコンやデジタル家電の製造に欠かせないレアメタルのタングステンとタンタルの開発で協力する方針だ。政府はさらに、モンゴル、ロシアとも同様な関係を結ぶことを目指しており、今回のロシア側からの提案で資源政策に弾みがつくことが期待されている。

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■ロシア中小企業支援ファンドの事業化調査でも合意

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今回の政府間協議では、ドイツの政策銀行KfWとロシア開発対外経済銀行(VEB)が、ロシアの中小企業を支援する国際ファンドの事業化調査を実施することでも基本合意した。同国中小企業の資金調達を長期的に支援することが目的で、両行は8億ユーロのファンド規模を想定している。ファンドはロシア以外に設立し、資金は国際投資家から調達する考え。ファンドから資金を受け取った現地の銀行が中小企業に融資する形をとる。事業化調査の結果は年内にも明らかになる見通しだ。

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KfWは2004年からロシア支援を開始。ドイツ政府のロシア向け体制移行支援プログラムや経済省から委託された融資プログラムの枠組みなどを通し、ロシア経済、特に中小企業を支援しており、VEBにも複数のプログラムを通して融資を実施してきた。これらの支援で融資の対象となった製品やサービスの6割が直接、間接的にドイツ企業からの輸入となっており、ロシアの中小企業支援はドイツ経済にもプラスの効果をもたらしている。

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