2011/8/10

ロシア

ガスプロム、提携拡大で欧州市場強化狙う

この記事の要約

ロシアの国営ガス最大手ガスプロムが、欧州市場の事業基盤を強化するため、現地企業との提携拡大を検討している。同社は7月、独エネルギー大手RWEと西欧市場で火力発電合弁事業を設立することで合意し、戦略提携を発表したばかり。現 […]

ロシアの国営ガス最大手ガスプロムが、欧州市場の事業基盤を強化するため、現地企業との提携拡大を検討している。同社は7月、独エネルギー大手RWEと西欧市場で火力発電合弁事業を設立することで合意し、戦略提携を発表したばかり。現地日刊紙『Nesawissimaja Gaseta』によると、同社が複数の提携先を探すのは、カスピ海と欧州をつなぐ新ガスパイプライン「ナブッコ」との競合で優位を確保したいという思惑も働いているという。

\

ただ、7月半ばに開かれた独露政府間協議では、ロシアがバルト海経由の独露パイプライン「ノルド・ストリーム」で第3の供給ラインを建設し、原発からの撤退を決めたドイツへのガス供給安定化を図ることを提案したものの、ドイツはライン増設を必要とするほどの需要拡大はないとして拒否した。また、ロシア主導の黒海経由のパイプライン「サウス・ストリーム」計画がトルコとの交渉難航で遅れていることも、欧州へのガス供給拡大を狙うロシアにとって懸念材料だ。

\

イランが計画するイラクおよびシリアへのガスパイプライン建設プロジェクトも、ガスプロムの欧州事業を脅かす新たな要因だ。同パイプラインは2016年の完成予定で、地中海経由で欧州にガス供給することも視野に入れている。

\