2011/8/10

ロシア

ロシア、アジアなどへの穀物輸出を拡大

この記事の要約

ロシアは先月、昨年の記録的な干ばつを受けて実施していた穀物の輸出制限措置を解除した。2日付けのブルームバーグは、同国が低価格を武器に東南アジアや中東・アフリカへの輸出拡大を図っていると伝えている。\ モスクワに本拠を置く […]

ロシアは先月、昨年の記録的な干ばつを受けて実施していた穀物の輸出制限措置を解除した。2日付けのブルームバーグは、同国が低価格を武器に東南アジアや中東・アフリカへの輸出拡大を図っていると伝えている。

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モスクワに本拠を置く農業専門調査機関IKARによると、ロシア産小麦の価格は北米やオーストラリア産の小麦と比べ1トン当たり40米ドル以上安い。また、小麦や石炭の輸送に使われる中型船(パナマックス型)の用船料が下落したことで、東南アジアなど遠隔地への輸出でもコスト的に引き合うようになった。

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ロシアで穀物・油糧種子の生産及び輸出を手がけるアストンは、ケニアとモザンビークに小麦を輸出したほか、ベトナムとマレーシアと輸出で協議中だ。アストンで輸出部門の責任者を務めるピーター・ビアマン氏は、「これらの国々はこれまで北米やアルゼンチン、オーストラリアから小麦を輸入していたが、今年は状況が違う。ロシア産小麦の価格の安さには今のところどの国もかなわない」と胸を張る。世界最大の小麦輸入国であるエジプトは、輸出禁止の解除以降、72万トンの小麦を輸入した。先月同国で実施された輸入小麦の入札でロシアは1トンあたり249.47~250.40ドルの最低価格を提示、2番目に低かったフランスの提示価格を35ドルも引き離した。英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)のシニアアナリスト、ジャック・ワッツ氏は、ロシア人は「アグレッシブだ」と評する。

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ただ、IKARはロシア産小麦の優位性が今後は低下すると見ている。ロシア国内の需要拡大による輸出可能剰余の減少や用船レートの上昇が見込まれるほか、他の産出国の小麦価格が下落傾向にあるためだ。 ロシアの禁輸解除で北米や欧州産小麦の需要が減少するとの観測から、パリのNYSEユーロネクストの小麦価格は過去2カ月間で19%、シカゴ商品取引所(CBOT)は4.1%それぞれ下落している。また、ロシアと同様に穀物輸出を禁止していたウクライナも先月から輸出を再開しており、東南アジアの小麦市場でロシアの強力な競争相手となると見られている。

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ロシア農業省の予測によると、2011~12年の穀物の総収穫高は8,500万~9,000万トンと、昨年の6090万トンを上回る。輸出量は2,000万トンに達する見通しだ。

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