2011/8/10

ロシア

ロシア、北極海航路の開通目指す

この記事の要約

北極海をおおう氷が2007年に記録された最小記録に迫る勢いで溶けている。ロシア政府は夏季に砕氷船なしで北極海を航行できるようになると見込んで、航路開発を進めたい意向だ。ただ、商業運航には流氷などの問題を解決しなければなら […]

北極海をおおう氷が2007年に記録された最小記録に迫る勢いで溶けている。ロシア政府は夏季に砕氷船なしで北極海を航行できるようになると見込んで、航路開発を進めたい意向だ。ただ、商業運航には流氷などの問題を解決しなければならないほか、夏季の数カ月だけの利用で競合する南回り航路から需要を奪えるのかとの疑問もあり、見通しは不透明だ。

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ロシア連邦気象環境監視庁(ロスギドロメト)の発表によると、北極海の氷結面積はところによって過去の平均を44%下回り、今月から9月末まで砕氷船に頼らず船舶を運航できる見込み。

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アジアから北海へ抜ける航路は、一般に利用されるスエズ運河経由の南回り航路に比べて距離が3分の1短い。政府としては、商業化して関税や砕氷船リースを収入源としたいところのようだ。

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プーチン首相は、アルカンゲルスクとベーリング海峡をつなぐ北極海航路を整備し、年間を通じて運行可能にする方針を打ち出している。ノリリスク・ニッケル(金属)、ノバテック(天然ガス)、ユーロケム(窒素肥料)といった資源企業はすでに7~11月の5カ月間に限り同航路の利用に踏み切った。ただし、砕氷船の助けを借りての航行だ。

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本格的な商業航行には、氷山や浅瀬といった障害を克服しなければならない。また、南回り航路と競合するには年間を通した運営が望まれる。このため、実現までの道のりは多難なものとなりそうだ。

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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は昨年、今後数十年で夏には北極点の氷も解けるとの予測を明らかにした。ロスギドロのフローロフ長官は2050年ごろに現実化するとみている。

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