2011/9/7

ハンガリー

オルバン首相がEUをけん制、「ハンガリーの独立を守る」

この記事の要約

ハンガリーのオルバン首相は2日、欧州債務危機の長期化に関連して、外国から批判を受けてもハンガリー独自の政策を実行する決意を示した。この秋から「ハンガリーの独立を守る戦い」が始まると話し、「ギリシャの二の舞にならない」よう […]

ハンガリーのオルバン首相は2日、欧州債務危機の長期化に関連して、外国から批判を受けてもハンガリー独自の政策を実行する決意を示した。この秋から「ハンガリーの独立を守る戦い」が始まると話し、「ギリシャの二の舞にならない」よう強い決意が必要と説いた。

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具体的には中国、ロシア、アラビア諸国との経済関係を築くことが肝要とし、欧州連合(EU)への依存を弱める方向性を打ち出した。EUなどから出されているハンガリー政府の政権運営に対する批判については「健全な国民精神の発展を阻害するものであり、注意を払う必要はない」と強気の姿勢を示した。

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財務政策については、国家債務の履行を加速する意向だ。債務の国内総生産(GDP)比を現在の77%から2012年までに70%以下に減らす。現政権の任期が満了する2014年までにマーストリヒト条約が定める60%近くまで引き下げるという。これに向けて、今後数週間以内に追加的歳出削減策を発表するとした。

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また、経済回復の遅れと1,000億フォリント(3億6,600万ユーロ)の歳入不足を補うため、アルコール飲料、たばこ、ゲームに対する課税強化を示唆した。

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来年からの財政目標達成に向けた具体的な方策は明らかにしていないが、首相が率いるフィデス・ハンガリー市民同盟の財政・経済担当者によると、公務員削減、奢侈(しゃし)税および不動産税の導入、財産税の引き上げが検討されているもようだ。

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■外貨建て債務者を救済

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フォリント安スイスフラン高で深刻化している債務不能問題について首相は、外貨建て債務を払いきれない国民に対する救済策を優先的に実行すると約束した。銀行にも負担を求める方針だ。

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ハンガリーでは金融危機前、住宅ローンとしてスイスフランを中心に外貨建て融資契約が多く結ばれた。しかし、フォリントの対スイスフラン為替相場は3年前に1フラン150フォリントだったのが、現在では239フォリントまで下がっている。このため、国内26万世帯が債務不能ぎりぎりまで追い込まれている。

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この状況を受けて、政府と国内銀行が立ち上げた救済プランが8月中旬にスタートした。延滞から90日を過ぎていない債務者が対象で、最大3年間、1フラン180フォリントのレートで返済することが認められる。

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救済プランの対象外となる、延滞期間が90日を超えた債務者も12万人に上ると推定される。このうち、住宅ローンが払えずに家を失う可能性がある人は4万5,000人。政府は5,000人に限定して、住宅を時価の半額で買い上げ、店子として住み続けられるよう保証する方針だ。住宅の平均価格を基にすると、政府の負担額は2014年までに2,000億フォリント(7,500万ユーロ)に上る計算となる。

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中央銀行の調べによると、個人や地方公共団体を合わせたハンガリーの外貨建て債務総額は6月末時点で53億8,600万フォリント(197億ユーロ)に上った。5~6月で約500億フォリント(1億8,330万ユーロ)、また、6~8月でさらに約500億フォリント増加した。(1HUF=0.39JPY)

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