2011/9/14

総合・マクロ

独露間のノルド・ストリーム開通、本格稼動は10月末以降に

この記事の要約

ロシアとドイツを結ぶバルト海天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」が6日、稼動した。ウクライナを迂回して欧州にガスを供給する目的で敷設されたもので、開通式に出席したプーチン首相は「経由国の言いなりにならなくても済むよ […]

ロシアとドイツを結ぶバルト海天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」が6日、稼動した。ウクライナを迂回して欧州にガスを供給する目的で敷設されたもので、開通式に出席したプーチン首相は「経由国の言いなりにならなくても済むようになった」と政治的意義を強調した。旧ソ連諸国の天然ガスをロシアを通さずに欧州に運ぶ目的で欧州が推進する競合プロジェクト「ナブッコ計画」は遅れが目立っており、ノルド・ストリームの開通で状況は厳しさを増しそうだ。

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今回稼動した第1パイプラインの年間輸送能力は275億立方メートル。現在は本格操業に向け、特殊ガスを注入して圧力を上げている段階で、ドイツへのガス輸送が始まるのは早くて来月末とみられている。第2パイプラインは来年開通の見通し。年間を通してフル稼働する2013年には、合わせて550億立方メートルの輸送が可能となる。

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ノルド・ストリームは、ロシアのヴィボルグとドイツのザスニッツを結ぶ海底パイプラインをバルト海に敷設したもので、全長1,114キロメートルに上る。投資総額は74億ユーロで、51%をガスプロムが出資するほか、ドイツのヴィンタースハル、エーオン・ルールガス、オランダのガスユニ、フランスのGDFスエズが参加している。

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ノルド・ストリーム計画は、ロシアとウクライナの天然ガス価格をめぐる紛争がきっかけとなった。ロシアは欧州へのガス輸出の80%をウクライナ経由のパイプラインに頼っており、紛争の先鋭化で欧州への供給量が一時的に激減する問題が発生した。このため、最大顧客である欧州への安定供給を確保することが課題となった。

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ロシアはまた、ナブッコ計画に直接対抗する「サウス・ストリーム計画」も推進中。黒海の海底にパイプラインを敷設し、自国産天然ガスをブルガリアから南東欧に供給するものだ。ロシアへの天然ガス依存からの脱却を狙う欧州連合(EU)の思惑を潰す狙いがある。ナブッコ計画がガス供給国の獲得に手間取るなど難航している一方で、後発のサウス・ストリーム計画はすべての経由国から正式な合意を取り付けて順調に進行しているもようだ。

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